建築・販売・建物賃貸管理会社が耐震強度偽装事件
2005年、S社の情報にて、博多駅近、名古屋駅近にて優良な土地を購入でき、新築アパートを建設しました。
ところが、ある日のこと、S社のホームページにて、衝撃の事実が。
S社は、博多が本社にて、博多から、その後、名古屋、東京へと進出していきました。
ところが、東京での地縁が薄かった為か、信用調査が不十分だった為か、東京の販売用一棟物ビル建設の際、耐震偽装事件に関わっていた一級設計士、検査関係団体を起用してしまっていたのです。
S社は自らホームページでその旨を公開しました。
当該販売用一棟物ビル物件に関してですが、販売済みの物件については、入居者の方々には立退き費用を支払って立退いてもらい、販売価格で買い戻し、販売予定物件については、手付金没収・違約金等無しで解約した上で、建物取り壊し・再建築ということにしたのです。
S社は財務内容・収支状況も良かったので、耐えられると判断し、その旨も公開したのです。
私は、S社の担当者の方々も信頼しておりましたし、この迅速・適切な対応も評価しました。
S社であれば、耐えられると思いました。
尚、私の所有している博多・名古屋のアパートについては、設計・施工は大丈夫のようでした。
しかし、その日の翌朝、妻が私を起こしにきたのです。
「大変!!S社がテレビで騒がれて、大騒ぎになっているよ!!」
私は、すぐに起きて、テレビを見にいきました。
すると、テレビの大画面に、見なれたS社のホームページが映し出されているではありませんか。
どうやら、マスコミが嗅ぎつけて大騒ぎしているようです。
一級建築士のA氏、同様に耐震偽装に関わったH社・K社等は、もうボロボロ。
自己破産状態です。
マスコミにすれば、一蓮托生といった感じです。
マスコミ等による風評被害がひどくなれば、最悪S社倒産、S社設計・施工物件は事実上大暴落する可能性も出てきます。
設計・施工だって、あやふやになってきます。
私は、最悪の事態も想定しました。
入居者の方々には立退き費用を支払って立退いてもらい、建物取壊し・再建築か?
しかし、購入後まもなくのことであり、ローンはほとんど残っています。
土地・建物半々としても、建物が無価値になれば、資産価値は半額。
半分は担保不足になり、新規融資は困難でしょう。
家賃も入りません。
ただ、不幸中の幸いは、博多駅近物件、名古屋駅近物件共に、ノンリコース(不遡及型)ローンだったことです。
当初自己資金と支払済みローンはあきらめることになりますが、当該物件を放棄すれば、それ以外の物件等資産には及ばず、残存ローンからは免責となるのです。
有限責任会社みたいなものなのです。
欧米では一般的なのですが、日本では、一時期、一瞬、部分的に適用されただけで、現在はほとんどないようです。
S社では、オーナー、マスコミ等から問い合わせは殺到、社長が国会等で証人喚問を受けたり、サーバー・パソコン押収等、暫くは、仕事にならなかったとのことです。
ただ、迅速・適切な対応が功を奏し、その後、S社は、立ち直り、現在では、順調に、設計・施工・販売・建物賃貸管理業務を行っておられます。
最近では、リノベーションセット家賃保証プランも出されました。
設計・施工会社選択では、信用状況を見ることが重要です。
融資環境さえよければ、ノンリコース(不遡及型)ローン活用はリスク低減できます。