加入し損ねた団体信用生命保険
不動産経営においては、通常、団体信用生命保険に加入します。
ローン支払者に死亡・重度障害等万一の不測の事態が発生した場合には、保険会社が残存ローンを一括して支払ってくれます。
従って、遺族には、借金の無い不動産が残され、家賃がほとんど丸々残されるのです。
不動産という資産には手を付けずに、家賃だけで生活できるようにしてあげることも可能なのです。
「鶏は残して卵を食べて暮らす」という発想なのです。
保険料は、年齢にかかわらず一定で、通常の生命保険に比べれば、格安となっております。
ところで、2005年、小生は、博多駅近、名古屋駅近に、優良土地を探してもらい、アパートを新築しました。
融資は、T銀行のノンリコース(不遡及型)ローン。
自己資金と支払済みローンさえあきらめれば、最悪、当該物件を放棄すれば、それ以上、他物件・他資産には影響が及ばないタイプのローンです。
欧米では一般的ですが、日本では、一瞬だけ適用を受けられることができました。
昨今では、ほとんどないようです。
借入金額は、博多駅近物件が4,780万円。
名古屋駅近物件が6,020万円。
合計1億800万円。
当初、当然ながら、両方共、団体信用生命保険付で想定していました。
しかし、土地売買契約・建物建築請負契約も完了し、融資交渉も概ね終了したあとになって、T銀行の担当者から、突然の連絡がきました。
どうやら、一金融機関毎に、団体信用生命保険の上限枠があって、それが、1億円とのこと。
ついては、自己資金を更に800万円出して、借入合計を1億円迄下げて欲しいとのこと。
私は大貧民なので、キャッシュはなく、800万円等無理でした。
かといって、名古屋駅近物件を今更あきらめるのも残念です。
裏技で、6,020万円の借入契約を2本に分け、5,220万円分は団体信用生命保険付き、800万円は団体信用生命保険無しとする案も浮上しました。
しかし、その場合、金銭消費貸借契約等やり直しで、T銀行の社内決裁もやり直し。
決裁が降りる保証はありません。
それに、遅れれば、この案件そのものも保証の限りではありません。
私は、この6,020万円の方は、団体信用生命保険無しのまま、強行することとしました。
どうせ、又、新規案件で御世話になることだろうし、枠として、残り5,220万円分は、次回に取っておこうと考えたのです。
しかしです。
2008年、サブプライムローン、リーマンショック。
私たちサラリーマンもショック!!
T銀行も業績悪化。
ノンリコースローンどころか、不動産経営融資自体、なくなってしまいました。
次回はなかったのです。
世界金融情勢、当該金融機関の業績・方針等によって、資金調達状況は、コロコロと変わります。
条件のいい借金は、借りられるうちに借りておくというのも、考え方です。
もっと言えば、いい物件は、多少借入条件が悪くても取り敢えず活用して物件を押さえる。
そして、返済実績を積み上げ、ほとぼりが冷めた頃、もっといい条件に金利を引き下げてもらう、借り換える等といった手法も考えられます。
物事は、何十年先まで、長い目でみることが重要です。
【まとめ】
団体信用生命保険は多少無理してでも入っておいた方が良いです。
借金・団体信用生命保険も、財産です。
【参考図書】
「サラリーマン大家さん お金の借り方テクニック」(加藤 隆、㈱東洋経済新報社)