札幌:殺人事件の現状有姿物件


ある日、札幌の知り合いの不動産会社社長から、1本の電話が入りました。

その方は、競売になる前の、任意売却物件等、リーズナブルな価格の物件情報を、すぐに、電話連絡して下さっていました。

当時は、1990年のバブルも崩壊した後でもあり、不動産等、誰も見向きもしない頃です。

本屋に行っても、今のような、「不動産投資本」等、どこにも見当たりませんでした。

利回り20%~25%といった物件がゴロゴロしていたのです。

その変わり、不動産購入に当たって、融資してくれる金融機関もほとんどなく、というか、金融機関自体も青息吐息の状態で、人に金を貸すどころではなかったというのが実態でしょう。

それにしても、異常に安いのです。

当時の時価の更に半額程度なのです。

私は、

「何か、「告知事項」でもあるんじゃないですか?」

とお聴きしました。

すると、

「わかります?」

とのこと。

「管理費・修繕積立金滞納が何百万円もあるとか?」

(その場合は、新所有者が支払義務を引き継がなくてはならなくなります。)

「いえ、それは、大丈夫です。」

「じゃー、自殺とか?」

「いえいえ、そんなもんじゃー、すみません。」

「とすると、他殺しかないじゃないですか?」

「当たりです。」

「現状有姿での引渡しになります。」

「現状有姿?」

「そう、現状有姿!!」

「血糊も付いたままです。」

「ヒエー!!」

「結構です。」

昔、私の勤め先の社宅でも、不法侵入され、奥さんが殺害された事件が起こりました。

犯人は、暫く、捕まらなかったので、不安は高まりました。

奥さん方は、皆、実家に帰り、夜な夜な、だんなだけが仕方なく、帰ってくるという事態になり、やがて、ゴーストタウンになりました。

その後、不景気のせいもあってか、やがて、取壊し、マンションにして、売っぱらったようです。

私も、今では、不自然死、首吊り自殺、練炭自殺と、3回も遭遇してしまいましたが、殺人事件物件は、これらの比ではありません。

不自然死は、御本人の病気ですし、自殺は、あくまで自分の意思によるものですが、他殺は、自分の意思に関わらず、この世に無念を残したまま、極端な場合、自分の死をも意識する間もなく、殺されてしまうのですから、たまりません。

スピリチュアル的に言えば、自分の死も意識しないまま、この世をさまようというものです。

他殺物件、自殺物件等事故物件は、重要事項告知義務対象となり、賃貸価格・売却価格共、半額程度になります。

賃貸における告知義務は、判例にもよりますが、軽い場合でも、1回転。

思い場合は、数回転。

2年間。

等とも言われています。

黙っていたとしても、噂は、隣近所等から、それとなく伝わるものです。

あとで揉めると、極端な場合、訴訟となり、莫大な時間と経費をロスし、更には、信用失墜に繋がることにもなりかねません。

もっと言えば、金銭的な問題以前に、縁起が悪いです。

私も、スピリチュアル的なものを結構意識する方ですので、丁重に、この物件は、御断りさせて頂きました。

皆さんもくれぐれも気を付けて下さい。

【まとめ】他殺物件・自殺物件等、事故物件は、重要事項告知義務となり、賃貸・売却価格は半額程度になります。

いくら安くても、購入しない方がいいと思います。

■第4期:バブル崩壊後(2000年8月~2003年9月)B社時代・・・(区分所有マンション:札幌8戸) 

 



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