「カリスマ不動産投資家養成ゲーム(カモネギ脱出ゲーム)」(その2)


財務諸表で特にわかりにくいのは、資金繰りと損益の違いでしょう。

資金繰り上は考慮されないが、損益上考慮されるものに、「減価償却費」があります。

これは、建物代等で、購入時一括支払い済みで、その後、例年ではキャッシュアウトはしませんが、損益上は、経費に算入できるものです。

逆に、資金繰り上はキャッシュアウトするのに、損益上は経費計上できないものに、支払ローンのうちの元本返済分があります。

これは、「負債」の減少になり、「経費」ではありません。

まあ考え方によっては、減価償却費は、いいことばかりではありません。

その分、建物の実質的資産価値が劣化等によって落ちているわけです。

又、譲渡益が大きくなる分、譲渡税も大きくなります。

逆に、支払ローンのうちの元本返済分も悪いことばかりではありません。

その分、借金が減っていっていますので、担保余力が出てくると共に、売却時に売却益が出やすくなります。

この減価償却費は、建物以外の器具備品等で定率法を選択している場合や、減価償却期間が経過した場合には、節税効果が薄くなってきます。

逆に、支払ローンのうちの元本返済分は、元利均等返済の場合、徐々に増えていき、逆に原則として経費計上できる支払金利分は減っていき、これまた、節税効果が薄れていきます。

そして、減価償却費より支払ローンのうちの元本返済分が上回った場合には、俗にいう「デッドクロス」となり、損益(税務決算)より、実態のキャッシュフローの方が悪化してきます。

最悪、「勘定合って銭足らず」・「黒字倒産母さん」になりかねません。

要は、例月は、修理費、滞納、不自然死・自殺、金利上昇、空室時のリフォーム費用・空室期間の家賃無し・広告費・フリーレント・家賃下落等があり、資金繰りには余裕を持たせておき、売却しなくても、乗り切れるようにしておくことです。

かといって、将来、売らざるを得なくなる場合もあり得るでしょうから、値下がり分より元本返済分が大きくなるように、実質資産価値が残債より大きくなるように、考えておくことです。

売却時には、収益還元法で言えば、家賃に比例しますので、家賃を維持することです。

私のゲームの場合、大学移転で家賃が下落しました。

しかし、家具・家電付きにして家賃アップさせました。

実際にも、修理・リフォーム・リノベーション・フリーレント等を活用して、家賃維持が図れます。

ところで、ゲームもさることながら、現実もこんなものでしょう。

悪いことばかりで、いいことはほとんどないものです。

家賃・物件価格も下がる一方で、上がることはまずありません。

要は、リスクのオンパレード。

物件選定、リスク対策、資産価値維持向上等を如何に考慮しておくかが大切です。

資金調達では、築年数・物件構造によっては、借入期間が20年間か30年間かが選べるようになっています。

例年のキャッシュフローで見れば、30年間と長期間にしていた方が、楽です。

但し、売却時の売却益から見れば、20年間の短期間の方が、元本返済が進んでおり、売却益は出ます。

まあ、現実的には、例年のキャッシュフローが行き詰ったら、アウトですので、前者の方がいいでしょう。

私の場合は、修理費・事故がかさみ、例年のキャッシュフローがマイナスになり、給与等から補填せざるを得なくなってしまいました。

最終的には、利回りが良く、元本返済が進んでおり、売却益が出たので、かなりのプラスでは終わりました。

ただ、現実的には、例年のキャッシュフローがマイナスになり、売りたくなくても、売らざるを得ない事態になった場合、バブル崩壊時のように、その時の経済・金融情勢が悪かったら、二束三文で処分せざるを得ないかも知れません。

このゲームも、今後、どんどん進化していくことでしょうが、リスクの洗い出しという意味で、色々な事象のカードを用意しておいたら面白いかなと思います。

例えば、自然災害・二次災害(地震・火災・建物倒壊・津波・原子力発電所爆発・放射能漏洩、火山爆発・台風等)、世界恐慌・金利上昇・インフレ・ハイパーインフレ・徳政令・デノミ、デフレ、大学・企業移転、エレベータ・機械式駐車場メンテナンス、修理、大規模修繕(外壁・天井塗装等)、入居者トラブル・家賃等滞納・夜逃げ、不自然死・孤独死・自殺・他殺、空室(敷金返却・リフォーム・リノベーション・家賃不発生・広告費・フリーレント・家賃下落)、税金追徴等です。

かたや、数少ないいいことと言えば、例えば、景気上昇・家賃・物件価格上昇、新線・新駅、土地収用、リノベーション・家具家電付きによる家賃上昇等でしょうか。

これらを、エリア・築年数・建物構造・資金調達方法等によって、適用を分けるといいですね。

リスクについては、回避・移転・軽減・認容とあります。

回避は、万一の際、再起不能になる場合等、そもそもそのリスクを取らないことです。

例えば、5億円の一棟物SRCマンションをオーバーローンで購入し、キャッシュフローが出ない場合等です。

移転は、損害保険(火災・地震・施設賠償・事故等)、生命保険(団体信用生命保険(団信)、生命保険等)に加入すること、一括借り上げ家賃保証契約に加入する等です。

軽減とは、リフォーム等をして、空室・家賃下落リスクを低減させる等です。

認容とは、確率が低い場合・被害額が耐えられる場合、敢えて、何もせず、認める場合、ある程度の金利上昇等です。

不動産経営においては、物件・資金調達選定に注意し、各種リスクも考慮しながら、運営をきちんとし、キャッシュフローに余裕持たせることです。

そして、やむを得ず売却せざるを得ないことも想定して、残債務以上で売却できるように、しておくことが重要と思います。

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