「サインはV!」名語録


「サインはV!」1

 

バレーボール選手の心得

 

バレーボールを愛するものにとって、ボールは命にひとしい。

まちがっても、足でけってはならない!

 

魔の変化球サーブ・・・・・・

からだの小さいわたしとねえさんがそのハンディをはねかえすためにあみだしたあのサーブ・・・・・・

 

そんなににくいバレーボールなら うちまかしたらいいだろ

なぜにげる

そうでなければきみはたたかわずしてバレーに負けたことになる

いいや負けたんだよ

それならバレーボールにうちかってみろ

にくいにくいバレーボールをやっつけてみろ

ねえさんのはたせなかったゆめをきみのうででなしとげてみろ

ねえさんもきっとそれをのぞんでいることだろう

 

Vサイン・・・・・・

VICTORYの頭文字をあらわすサイン・・・・・・

日本語で勝利だ!

きみには勝利あるのみ サインはVだ!

 

ねえさんを死においやったにくいにくいバレーボールにうちかちます

 

ユミはじぶんが心のそこからバレーボールを愛していることをしったのよ

ユミからバレーボールをとりさることはできないわ

 

義務教育といっても 修学旅行やいろんな会費でお金がかかってね

 

この長屋の人たちは世間から見はなされ 日のあたらないふきだまりで小さくなってくらしているのよ

こんなふきだまりの人間だってこんなりっぱなことができるんだと じまんできるような人間がでてくることをまちのぞんでいるのよ

この長屋の人とちのためにもしっかりね

 

あんたがたみたいな正直ものにゃ神さまがついてるんだよ

 

ぼくはかけているんです

あの少女の小さなからだにひめられているかぎりない可能性に・・・・・・

 

りっぱな体育館からりっぱな選手が生まれるとはかぎらん

もんだいはその中で練習する選手の心がまえひとつだ!

 

とうぶんボールにふれちゃあいかん

ボールをうつまえにやることがたくさんあるはずだ

まず体力を作りりっぱな足こし つよいうでを作るんだ!

さあ 柔軟体操をしたらうさぎとびをはじめろ

 

「井の中のかわず大海をしらず」だっ

井の中のかえるは大きな海があることをしらないで 外にでようともせず じぶんのすんでいる井戸が世界じゅうでいちばんひろいものと思い込んでいる

 

中学や高校ではずばぬけたちからがあっても社会にでたら一年ぼうずだっていうことがわかったか

バレーボールは個人競技ではないんだ

チームの結束力こそたいせつなんだ

まとまりのないチームになにができる!

バレーボールはきみたちの生きていく道とおなじだ

階段を五段も六段もいっぺんにあがろうとすれば ころんでもとの場所におちるだけだ

一歩一歩大地をふみしめてあるけ

 

ふつうの選手ならネットの上にボールをふたつかさねた高さに手がとどかなくてはだめです

やく270センチですよ

だがそれは常識的な考えかただ

もし朝丘が二七0センチ以上までジャンプできればもんだいないだろう

 

人間やってできないことはないわっ

これがわたしの主義よ

 

あなたはからだが小さいんだから 人より上にでるには ほかの人の三倍も四倍もがんばらなくてはだめよ

 

もっとバネをきかせろ

背をそらしてスナップをきかす

 

きみはじぶんが不幸だと思っているばかりで その不幸とたたかおうとしないじゃないか

よわむしめ!

バレーボールはきみのなやみをどこかにほうりなげてくれる・・・・・・

そしてきみに希望をあたえてくれる

 

この世界は実力だけがすべてだ

六人以上のレギュラーはいらん

ひとりあがればひとりおちる

あとからはいったものでも実力があればすぐレギュラーにする

もたもたしているものはどんどんおちていくからそのつもりでな

 

きみがバレーボールに勝つか負けるか血とあせでためしてみろ

 

おもいシューズをはいてトレーニングをすれば 足腰の筋肉はそれにたえるようつよくなる

だから黒いシューズをぬいだとき わたしのからだはつよい筋肉のばねで高くジャンプすることができたんだわ・・・・・・

 

みんなの協力があるからこそ わたしのジャンプ力がいかされるんじゃないの

 

その気のゆるみがゆだんをもたらすんだっ

ぜったいいかんよ

そんな気持ち・・・・

 

ジャンプ力がつけばほかにすることはないというのか!

 

これはわたし流のトレーニングマシンよ

つまり朝丘さんの黒いシューズとおなじりくつよ

これをつけてボールをうつにはそうとうな力がいるわ

だから これでふつうの選手なみにボールがうてれば このスプリングをとったとき いままでよりもっともっとつよい力でボールをうてるというわけよ

足と腰もおなじことよ

まえに・・・・・・よこに・・・・・・どっちにうごいても・・・・・・スプリングはわたしをひきもどそうとする

こうしてわたしの筋肉がスプリングと力くらべをしてるうちに筋肉はスプリングの力にたえられるようにつよくなるわ

 

わたしは人に負けるのが大きらいよ

 

いままではジャンプのことで頭の中がいっぱいだったけど こんどはだれにもまねのできないサーブをあみだすわ

新しい魔の変化球サーブ!

 

あの目かくしにはなにか重大な意味が・・・・・・

 

サインはV!

ぼくのおしえたVサインはただ試合に勝つということだけじゃないんだ

じぶんじしんに勝つということなんだ

 

きみはいいライバルをもったな

気づいてないだろうが 朝丘くんがいなかったら きみはそんなに努力はしなかったろう

人生もスポーツとおなじだ!

あるときはくじけそうになり くるしさにもだえながらもそれをのりこえていく

つよい心と肉体をつくる・・・・・・

これがスポーツだ!

人生なんだよ

 

やはり勝負はときの運ともうしまして・・・・・・

 

やってみなけりゃわかりませんよ

 

みんな大試合にでたのははじめてだし そのうえ優勝を意識してかたくなっている・・・・・・

「かたくなるな」だわ

 

大本の殺人スパイク!

 

あの殺人スパイクはむりな体勢でレシーブすれば かならず骨折したり脳しんとうをおこす

真正面からうけねばだめだ

 

あいての心をよんで どこにボールがとんでくるのかわかっているみたいだわ

 

音 音だわ

あの目かくしのひみつは・・・・・・

目かくしをして 音をたよりにボールにおいつく・・・・・・

あいてがボールをうったしゅんかんの音で どの方向にボールがとんでくるかを見きわめる能力をやしなっていたんだわ

そして うでや足腰にスプリングをつけて どんなつよいボールでもうけられる力をやしなう・・・・・

 

バレーボールはまだいつだってできるんだ

だが おかあさんは生きかえってはこないんだぞ

 

おまえはバレーボール選手として失格だよ

たとえその電報がほんとだとしても たいせつな試合をほうりだしてくるなんて

かあさんはちっともうれしくないよ・・・・・・

 

親というものは子どものまえで鬼にならなくてはいけないときもあるんじゃないのかしら

顔でおこって心でないてというわけだな

 

両チームともつかれきっています

・・・・・・

あとは精神力と根性のたたかいですが

 

せりあいになれば試合なれしているヤシカが有利だ

 

つかれたわ・・・・・・

からだじゅうの筋肉がばらばらになりそう

むりもないわ

わたしのスプリングレシーブはあいてのうったボールの音に全神経を集中させるんですもの

ほかの人の倍はつかれるわ・・・・・・

 

みんなおちつけ おちつくんだ!

ここまできたらあとは精神力の勝負だ

こっちがくるしいときは あいてもくるしいんだ

 

うしろむきでうち しかも ボールがまるでいなずまのように変化する・・・・・・

いなずまおとし

 

むかしソ連に これににたサーブをうつ選手がいたのをおぼえているが 空中でボールを変化させるのははじめてだ

このサーブをうつには強力な手首のばねとひねりがいる・・・・・・

 

どうだ このなみだの味は

これが優勝の味なんだ

うまいだろう

思うぞんぶんに味わえ!

あすへの前進のため もっともっと大きい栄光のために

 

大本さんはりっぱな人だわ

負けてもくやしさをすこしもださずに握手をもとめてくるんですもの・・・・・・

それにくらべてわたしは・・・・・・

いまはなにもかもわすれてチームのみんなとよろこびをわかちあうべきだわ

 

牧さんのむねの中には全日本選手権での優勝・・・・・そして世界制覇という大きなゆめがあったはずです

 

きみはじぶんじしんにきびしすぎるわい

 

ぼくは・・・・・・じぶんじしんをゆるせないんだっ

 

きみと椿くんはいずれはたたかわなければならない運命にあるんだ

こうしてきみたちはおたがいに進歩していくんだ

きみはよき友 よきライバルをもったんだ

 

きみたちの試合ぶりを見て もういちど長所短所をつかみとり これからのコーチの方法を再検討したいと思う・・・・・

 

あの子は天性のすばらしい運動神経をもっている・・・・・

 

バレーボールはわざだけで完成されるものじゃないわ

あなたはこのテストのまえにバレーボールの純粋さをしるべきね

 

(うさぎとび)

ひざに損傷を及びすため、現在では行われていない。

かわってジャンプするたびに足をまっすぐに伸ばすかえるとびが有効なトレーニングとして指導されている。

 

思ったとおりのすばらしい足腰と根性だ

 

まず前衛Bが後衛のレシーブしたボールをトスする・・・・・・

つづいて前衛のAとCが

いや それは不可能だ・・・・・

しかし・・・・・

不可能を可能にしてこそ敵をやぶることになるんだ

 

あのずばぬけた根性と体力があれば・・・・・

 

美しい花もかれてしまえばそれまでです

かたちあるものはかならずこわれます

どんなすばらしいわざにも欠点はあります

ですからそれさえ見つければ いなずまおとしなどとるにたらないものになるでしょう

 

 

きのうの友はきょうの敵というわけね

 

しかし どんなにすばらしいわざも けっきょくはきみたちの協力がなくてはなんのやくにもたたん・・・・・

六人がひとつにならねばな・・・・・

 

「サインはV!」2

 

もっとひざのばねをきかせろっ

まだまだスナップがよわいぞっ

そこで回転しろ

 

こんどの新しいプレーはふたりの心がぴったりあわなければいけないんだ

 

ジュンのような人は黒人のすぐれた運動神経と肉体をもっているからスポーツをするのにてきしているんですって

 

植木屋がある屋敷の高い木の上でえだをきっていた

屋敷ではたらいている人たちは口をそろえて「あぶないから気をつけろ」といった

ところがこの家の主人は植木屋が安全なところまでおりてくると「あぶないから気をつけろ」といったんだ

つまり安全だと思って気をゆるすと心にすきができる・・・・・

だからどんなときでも最後まで心をひきしめていろということだ

 

バレーボールにはいかにチームワークがひつようかわかるはずだ

 

きみはいぜんの朝丘とおなじように人を信じるということをわすれている・・・・・・

真のチームワークとはひとりひとりの信頼のうえになりたつものだ

おたがいにたすけあいながら くるしみもかなしみもわかちあってこそ真のチームワークは生まれるんだ・・・・・

人間の社会だっておなじだ

たったひとりでいくらもがいても生きていけるものじゃない

 

ふたりの選手が空中でX字型になったしゅんかんにとびでるスパイク!

いったいどちらの選手がどの方向にボールをうったのか あいてにはまるでわかりません

 

これは最後のきりふだだっ!

ぜったいにだすなといったのに・・・・・

わざわざライバルにわれわれの手のうちをおしえてやったようなものじゃないか・・・・・・

 

短距離でのダッシュの練習・・・・・

平行棒をつかって空中でからだの位置をかえる練習・・・・・

とびこみ練習・・・・・

そしてゆか運動の空中回転・・・・・

ひたりがX字型にまじわるのは敵の目をあざむくためなんだわ

だけどボールをうつのが朝丘さんになるかジュンになるかでボールは左右にうちわけられる・・・・・・

また敵の守備態勢によってはボールをコートのまん中にもうちこめる・・・・・・

 

ふきだまりの長屋の人間だって ひとのできないーことをやれー

 

「でも安心してはいけないよ

きっとそのわざをやぶろうとする人がかならずあらわられるから・・・・・」

 

魔のX攻撃!

 

きみのその思いあがりがなおるまではぜったいに試合にはださん

なぜならいまのきみはこの神聖なスポーツをやる資格がないからだっ

なんでも勝てばいいと思っていたら大まちがいだぞっ

スポーツは人生とおなじだ

いかに努力をし りっぱにたたかったかがもんだいなんだっ

勝敗は二のつぎだっ

 

いや おれ・・・・・はずかしくなったんだ

コーチが選手をひっぱたくところを記事にしてやれ・・・・・・きっとおもしろいぞなんてむちゅうでシャッターをおしたじぶんがね

おれたちだっておんなじたっ

せいいっぱいりっぱなしごとをやるべきだ

ものごとをあまくみておもしろはんぶんに記事をかくなんて・・・・・

 

ジュンにはきみがひつようなんだ

きみの友情がね・・・・・・

 

きみの真心だけがジュンのかたくとざされた心のとびらをひらくことができるんだ

 

わかしはこのとおりのちびよ

だから正選手になるためには大きい人に負けないように血のでるようなくるしみを味わってきたわ

 

がんばるのよっ

くるしくてもにげてはだめよ

なにもかもわすれてボールにぶつかるのよ

心の中にもやもやするものがあったら それもぜんぶボールにぶつけるのよ!

 

くるしいからってにげるのはひきょうよっ

じぶんの力でたちあがるのよ

さあ

元気をだしてっ

わたしにできたことがあなたにできないはずがないわっ

つよく もっとつよくなるのよっ

 

こんなにわたしのことを思ってくれた人はいままでひとりもいなかったのに

 

あの子はこのんで混血児に生まれてきたんじゃない

それなのにまわりの人間がみんなつめたい目で見よる

じゃからあんな性格の子になっちまったんだ

ほんとうはいい子なのさ

世の中にはしんからわるいやつはいないさ

 

あの子にいまいちばんひつようなのはあたたかい心をもった友だちなんだ

 

じぶんだけが不幸のどん底にいると思っているその目よ!

でも不幸なのはわたしだけじゃなかったのよ

世の中には不幸な人はもっともっといっぱいいるわ

 

六人制のバレーではサーブ権をとるたびに守備位置をとけいのはりのすすむ方向にひとつづつずらします

 

滝チームはなんのへんてつもないチームだが 選手のひとりひとりがかくじつにボールをひろう・・・・・・

そして平均した力をひとつにまとめて敵にぶつけてくる

あのおそろしいぞうでさえ 小さなありの大群におそわれるとたおされてしまう

 

後衛にいる朝丘さんとジュンが前衛の左右に位置しなければ・・・・・X攻撃はぜったいにできない!

そのチャンスはたびたびあるものじゃない・・・・・

これがX攻撃の第一の欠点!

そして第二の欠点は・・・・・

 

いなずまおとしはふつうのサーブより何倍も精神とからだ全体のばねを集中してうたなくてはできないサーブよ

いくら体力のある朝丘さんでもつづけて3回が限度よ

 

X攻撃にはいなずまおとし以上にいっしゅんの精神の集中力と筋肉の爆発力がひつようなのね・・・・・

そのためにからだに極度の負担をかけるからつづけて三回以上だすのはむりなのね

 

このセットはかまわんから負けてしまえ

とにかくあまりむきにならないでらくにやれ

そして体力をかいふくさせるんだ

 

滝チームの弱点とは?

あのわらいだ

あのわらいがかぎだ

 

あのわらい顔はむこうの作戦だ

ほんとうはなきたいくらいひっしになってたたかっているんだ・・・・・・

ああいうふうにわらってそれをごまかし 余裕たっぷりにたたかっているように見せかけているだけさ

それにきみたちはひっかかってしまいむこうのペースにはまりこんでいるんだ・・・・・・

むこうがわらったらこっちもわらいかえしてやれっ

 

滝チームの力はこっちよりはるかにおとるが六人がひとつになってむかってくるところに思わぬ力がでてるんだ

だからこっちは変則攻撃で滝チームの力をバラバラにかくらんしてしまえ

 

体力ではぜったいにこっちのほうがすぐれているんだ

そのうえこっちにはX攻撃 そしていなずまおとしというさいごのきりふだがあるんだ・・・・・・

勝てるはずだ

ぜったいに・・・・・・

 

ここまできたらあとは精神力の勝負だ

だめだと思ったほうが負けだ!

さいんはⅤ!

さいごにたよれるのはじぶんだけなんだっ

じぶん自身に勝つことだ

おのれに勝て!

じぶん自身にむちをうてっ

むこうもひっしなんだぞ!

どっちの精神力が強いかで勝負はきまるんだっ

 

この機械でうでとせなかの筋肉をきたえる・・・・・・

サーブとスパイクの力をつけるのに役だつはずだ

これでこしをきたえるとどうじにうでの力をつける

こうしてジャンプ力をつける・・・・・・

これはうでとこしの回転力をつけサーブ力をつけるための機械だ・・・・・

おなかの筋肉を強くする・・・・・・

こっちは足の訓練用の機械だ

メーターにスピードがでてくる

 

いくらすぐれたわざをもっていてもさいごにものをいうのは体力と根性だ

チームワークもさることながら ひとりひとりが基本をしっかり身につけていなければいけない

 

日曜日も祭日もないぞ

 

敵のうったボールをかくじつにひろう・・・・・・

これがなくては攻撃は考えられない

 

スパイクするものはレシーブするものの前後左右三メートル以内にどんどんボールをうちこめ

そして ゆるいたま きついたまといじわるくうて

 

もっとボールを左右にうちわけろっ

ボールにおいつくのがおそいぞ!

あいてがうったしゅんかんに その音でどの方向にボールがとんでくるのか見きわめるようになれっ

 

なんでもないんだ!

気にしすぎるからこんな失敗をするんだ

 

このチームの武器はブロックだ

村上たち三人が前衛をまもったときはものすごく強力だっ

 

ここは変幻自在のスピーディーな攻撃が特徴で マスコミはかの女たちをコートの魔術師とよんでいる

つまりスピードがあるから あいてがばんぜんの防衛体勢をとらないうちにどんどんボールをうちこんでくる機関銃攻撃をとくいとしている

 

どんなことでも心からそれにぶつかっていくことは美しいものよ

 

わたくしたちはスポーツマンとして正々堂々たたかうことをここにちかいます

 

バレーボールは実力 根性 体力だけでは勝利の道はひらけない

のこりは作戦だ

これのまさったほうが勝ちだ

この作戦もちょっとでも計算がまちがったら負けだ

 

からだの大きい選手には二つの弱点がある

その一つはうごきがにぶいこと

だからゆさぶり戦法にはひじょうに弱いんだ

もう一つの弱点・・・・・

それはこしが高いのでひくいボールをひろうのがにがてなことだ

 

スパイクするとき ボールの回転に変化をつけたのさ

野球のピッチャーはボールの回転をかえることによって カーブ ドロップ フォークボール シュートなどと変化するボールをなげる

それとおなじだ

 

X攻撃!

もんだいはだれも気づかないあのふたりの影・・・・・・

それがX攻撃をやぶるかぎだわ

 

試合がおわれば敵も味方もありません

力をだしきってたたかったもの同士 心と心がしぜんにむすばれるのでしょうか・・・・・・

これこそ真のスポーツマンシップです

 

目の高さのボールはうけにくいから 一歩さがってうけるのよ

 

なんのスポーツでも防御にまわったものは攻撃にでるきっかけがひつようだ

 

たとえ負けてもやるだけのことをやって負けるのならくいはないだろう

 

「サインはⅤ!」3

 

立木の小山 まるでにげだすようにコートの外へはしりだしました

わあっ そのあとにつづいて朝丘もかしりだしました

うしろからくるボールがどうして見えたのでしょうか?

しかも空中転回してボールをひろいました

ちっともふしぎじゃないわ

音よ!

あいてがボールをうったときの音でとんでくる位置がわかるのよ

わたしはずっと前にこのわざをあみだしているわ

ちがう!

朝丘さんはあいてがボールをうつまえにはしりだしていたわ

だからうつまえにボールがとんでくる位置がわかっていたのよ

あっ しかしあとがいけません

松原のトスがうしろにながれま・・・・・

ふたつのひみつわざの連携・・・・・名づけてダブル=シークレットプレー!

 

三光は松原のトスがうしろに大きくそれたので安心しきっていたのですが・・・・・・じつはあれはわざとうしろにトスをそらせ朝丘のわざにむすびつける手だったのです

このプレーの第一は、あいての足、こし、目のうごき、かたの動作で、ボールがとんでくる位置を見きわめ、さきに走りこむ。

空気をきるボールの音で、とんでくる位置を感じとる。

うしろに空中転回してボールをレシーブする。

そして、つぎに攻撃にいつでみうつれる体勢をととのえる。

第二は、つづいて前衛がトス。

トスは、あいてをあざむく目的もあって、大きくうしろにうちあげる。

後衛は、すばやくさがってボールをおいぬき、まちかまえる。

そして、変化球サーブのようりょうであいてコートにボールをうちこむ。

 

いきおいにのったらとめようがない・・・・・・

これが立木の最高の武器だわ

大本さんのヤシカチームのように重圧感はないけど 立木のけいかいのスピードとチームワークはばつぐんだわ

 

だれがヒーローってことはない

みんなが力をあわせてやる気になったから勝てたんだ

 

ないたところでなんになる

ないてジュンの病気がなおるのなら ぼくだって思いっきりなくさ

 

人の世にはいくらあがいたところでどうにもならないこともあるんだ

 

椿にしても大本にしてもきみとおなじように死ぬほどくるしいなにかをせおっているかもしれない

しかしいまはただバレーボールにだけ青春の炎をもやしているんだ

 

わたしはスポーツマンとしてより人間として生きたいのよっ

 

も もすかすると 牧さんは病院についたとたんに盲腸炎になって こりゃつごうがいいやなんて手術してだど となりのベッドを見たら ユミさんもおなじで これじゃもうちょうがないなんてことに・・・・・・

 

立木チームがスポーツカーなら 朝丘ユミはそのエンジン・・・・・・

エンジンが故障すれば車はうごかないわ

 

立木はレギュラー選手のチームワークはばつぐんだけど 二軍選手はそのわりにひどくおとるからね

だから二軍選手がくわわるとまったくみだれちまう

 

けっしてくじけたりはしません

じぶんのあやまちはじぶんの手でつぐなうでしょう

 

牧さんから日ごろいわれていたバレーボールの基本・・・・・・ つまりごくあたりまえのことをわすれていたのよ

チームワークよっ

わたしたちは朝丘さんにあまりにもたよりすぎていなかった?

ジュンがいてくれたらなんて考えなかった?

それがしらずしらずのうちにじぶんをあまやかしていたんじゃない?

いままで朝丘さんとジュンにとよりすぎていたからほんとうの力を発揮できなかったのよもっとじぶんの力を信じることね

そしておなじコートの中でひとつのボールをおうチームメートを信じるのよ

 

朝丘のスパイク!

ああっ ボールにいきおいがありません

ボ ボールがとまった?

 

いなずまおとし 変化球スパイク ダブル=シークレットプレー そして魔のX攻撃

でもわたしはどれにも勝算がある

あの奇跡のスパイクにも・・・・・・

わたしにはあのひみつはとける!

ひみつがわかればそれをやぶる方法はすぐ見つけだすことはできる!

あのスパイクは左回転してとんできたボールがとちゅうで右回転する・・・・・・

そのいっしゅんとまるものだわ

 

なにかなやみごとがあるんならみんなでわけあいましょうよ

 

試合内容はけっしてほめられたものじゃないが きょうの試合でひとりひとりが感じとったなにかをつぎの試合に生かしてほしい

 

もうすんだことだ

 

あなたはあいてのうったボールにおいつくのがワンテンポおくれるのよ

 

バレーボールだけじゃないわ

世の中をりっぱにどうどうと生きぬいていくにはみんなそうよ

他人とおなじことをしていて栄光の座が約束されているなんてむしのいい話はどこをさがしてもありはしないわ

いま おもい病気とたたかいながら それにうち勝って いつかかならずコートにたとうとしている人もいる・・・・・・

 

かたうでがなくなるってそんなになきさけぶほどたいへんなことなの?

かたうでのアタッカー ジュン=サンダース!

かっこいいじゃないの

死ぬ気でやればそのかたうでだってやれないわけがないわよ

ジュン あなたならできるはずよ

あなたのその勇気と根性があれば・・・・・・

ジュン 死んじゃったら バレーボールはできないのよ

あなたがかたうでになってもわたしのライバルであることにかわりはないわ

朝丘さんとならぬ最大のライバルよ

ジュン あなたは立木のエースよ!

 

あなたはいつもすなおにほんとうの気持ちを外にだせない人・・・・・・

 

それぞれくるしみながらあらしの中をつきすすんでいる

しかし それが青春なんだ!

どんな障害にぶつかろうと とどまることをしらずにつきすすんで勝利を勝ちとる・・・・・・

これこそVなんだ

「サインはV!」なんだ

 

どこまでもつづく道・・・・・・

はてしなくつづく わたしの人生の道 青春の道・・・・・・

わたしは一歩一歩ふみしめてすすむ・・・・・・

もうなかないわっ なきむしユミとはさようならよ!

くるしいのはわたしだけではないんだもの

ジュンのほうがわたしよりも何倍も・・・・・・

麻理さんだって大本さんだって牧さんだって みんなひとりぼっちでくるしいんだ・・・・・・

 

どのチームも前半後半では戦法にちがいがでてくる

それをきみたちの目でからだでつかむんだ

 

いままでの試合ではいつも前衛に位置する朝丘をサーバーにするため いきなり後衛にもってきた立木・・・・・・

 

東京でだめなぁら 名古屋があるさぁ 名古屋がだめならぁ 大阪があるさっていうんだろ?

右手がだめなら左手があるさってわけよ

死んじゃったらおしまいだけど 生きてりゃ大すきなバレーボールもできるし すばらしい友だちもいっぱいいる

わたしは生きるよ 死ぬもんか

右手がなくなったらこの左手で一からバレーボールをやりなおすんだ

 

男だってなくときはありますよ

 

サインはⅤ!の精神はこの選手たちの心にしっかり根をおろし大きくそだってきたんだ

くるしみやかなしみをあすへのエネルギーにかえる力をかの女たちはちゃんと身につけてきたんだ

 

これが大本竜子の殺人スパイクをより強力なものにした殺人スパイク養成バッグだ

 

おまえたちもはじめは先輩たちの技術を見よう見まねで身につけて成長してきたはずだ

われわれの大先輩大松氏の考えだした回転レシーブはいまでは世界じゅうの選手がとりいれている

それを人まねだと非難できるだろうか

 

いまは一流のりっぱな絵かきでもはじめは先輩のえがいた作品の模写などをこころみたりして勉強する

それからじょじょにじぶん自身のもっとすばらしいものをつくりだすんだ

 

こんなふきだまりの人間だって努力しだいでりっぱな人間になれるってことをユミちゃんはおしえてくれたよ

 

小さな寺の観音像のすがただ

小さなことにおこったりわらったりないたりする人間のせまい心をあらいながしてくれるようなあの顔がさっきの朝丘ににていた・・・・・・

 

勝とか負けるとかいうことが無意味のような・・・・・・

 

大本が力のアタックなら朝丘は頭脳的なプレーとまったく対照的です

 

この試合は第五セットフルにたたかうかくごがいる

ここでいなずまおとしをだして体力をつかいきってはまずい

 

あの殺人スパイクは体力のある大本でもあれだけつづけてうてばからだがまいる

こっちがまいっている以上に大本のほうがくるしいはずだ

なにしろひとりで六人をあいてにしているんだからな

ヤシカでこわいのは大本ひとりだ

大本がくずれればぜったい勝てる!

 

うまいものは最後までとっておいてゆっくり料理してたべたいものさ

 

いいことのあとにはすきができる

そこに大きなおとしあながまっている

たとえば大本にはすでにおそろしい新しいわざが用意されていて・・・・・・

 

「サインはⅤ!」4

 

新殺人スパイクです

ボールが変化しました

ものすごいいきおいでこんどは上にあがります

 

ボールにもうれつにスピードがつくと空気抵抗でボールがホップする

これは紙飛行機をとばしてみればわかることだ

こうしてねらってあいての手前でボールが急上昇するように考案したのが大本の殺人スパイクなのだ

 

新殺人スパイクの秘密はわかったんだ

原因がわかればそれをふせぐ方法は見つかるはずだ

 

ボールを目の前に見たとき反射的にわたしのからだはうしろにとんでいた・・・・・・?

 

無だ!

無の境地だ

あのときいっしゅん朝丘の心が無になったんだ

まな板の上の「鯉」ということばがある

鯉はまな板の上にのせられるといままでひっしになってあばれていたのが きゅうにしずかになって身うごきひとつしなくなるという

人間も死の直前や最後のどたんばにおいこまれたときはやはりそうだ

大本のおそろしさがいっしゅんきえたとき 朝丘に本能的にあのプレーができたんだ

 

レシーブしただけじゃやぶったとはいえん

トス スパイクとボールをつないであいてのコートに確実にボールをうちかえさなければかんぜんとはいえないよ

 

ダブル=シークレットプレー 奇跡のスパイク 変化球スパイク そして いなずまおとし X攻撃・・・・・・!

 

勝利の快感に酔うものあれば その陰でかならずなくものあり・・・・・・

光あれば影あり・・・・・・か

勝負の世界にはこのふたつしかないのだ

光と影・・・・・・

 

だが 勝負の世界には あるいは・・・・・・?ということばは通用しない

結果がすべての非情な世界だ

 

蝶は美しい

でも あの美しいすがたで花から花へとびまわれるようになるまでには 長くくるしいみにくいすがたの時代があったはず・・・・・・

そしてあの美しさは長くはつづかない

あの美しさをえものにしようとするものの目がいつも光っている

 

この試合 順当にいけば われわれの勝ちだ

しかしだからといってちょっとでも気をゆるすな

それが大きなおとしあなになりかねない

 

第一の変化・・・・・・第二の変化がこれだ そして第三の変化・・・・・・

いなずまおとしの欠点はこのボールが変化するときにあるんだ

ほんのいっしゅんだがボールは空中で静止する

いなずまおとしをやぶるかぎはここにある!

つまりボールが空中でとまったときをたたくんだ

 

かたちあるものはかならずこわれる・・・・・・

どんなわざにも欠点はあるんです

いつかはこうなるとかくごはしていました

 

わたしはこの試合でいなずまおとしをいつやぶられるかとその恐怖でいっぱいだった

でもやぶられてしまったいまは かえってさっぱりしたわ

 

この試合ははやく勝つことより 確実にものにする方法をえらんだんだ

 

バレーボールは六人の心が一つになってはじめていいプレーがうまれるんだって・・・・・・

 

バレーボールはひとりでやるものじゃないくらいのことはわかっているだろ

 

勝負の世界は非情よ!

 

死んでいくものよりこれから生きていく人間こそたいせつなのです

 

ひとりひとりがすばらしい選手だからといってチーム全体がぜったいにつよいとはいえないのだが・・・・・・

 

世間のやつらからバタヤ横丁だ くず屋だなんてばかにされてるこの長屋の人間だってやればできるんだって 手本をみせてくれたんだ

 

勝敗は試合をやってみなくてはわからんよ

 

他人に責任をなすりつけるのは人間としていちばんひきょうだ!

 

ひとつのことにうちこんでる人間のすがたって美しいんだなって・・・・・・ことかな

 

 

 

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【加藤隆コラム情報等】

  • 一般社団法人 首都圏小規模住宅協会「不動産投資塾」加藤 隆が実際に体験した不動産投資の罠

https://ft-school.com/lecturer/%e5%8a%a0%e8%97%a4-%e9%9a%86

・マネット「加藤隆オフィスの評判は?気になる実績や相談内容をインタビュー」

https://ma-net.jp/card-loan/3993

https://ma-net.jp/card-loan

・ミツカル保険「加藤 隆【加藤隆オフィス】のインタビュー・プロフィール紹介」 https://mitsukaru-hoken.com/fp/12

https://mitsukaru-hoken.com/

・ 「お金がない馬」:「不動産経営のメリット」

https://hihin.net/blog/?p=18264

https://hihin.net/blog/

  • マイナビ「「満室」や「黒字」の秘訣を知る!スーパー大家の「賃貸経営術」」

http://chintai.mynavi.jp/chintaikeiei/superooya/detail_29.html

  • 楽待特集コラム「投資歴30年!加藤隆が語る「不動産投資の肝」」

http://www.rakumachi.jp/news/archives/author/kato

  • 健美家コラム『不動産投資で地獄を見た人の怖い話』

http://www.kenbiya.com/column/katota

  • グランシャス㈱お役立ちコラム「現役最古参のサラリーマン大家の先輩コラム」(区分所有マンション(一棟物):オーナー目線等)

http://toushi.grancieux.co.jp/authers/auther-3

  • じるる「不動産投資の情報サイトじるるで始めるマンション経営」(㈱ジールコンダクター)(中古区分所有マンション:運用:入居者事情等)

http://www.ziruru.com/category/column/kato_taka/

  • 住まいる!投資コラム(資産運用としての収益用不動産投資物件:区分所有マンション:リスク等)

http://www.smile-invest.jp/columns

  • 加藤隆オフィシャルサイト

http://kt-taka.net/

  • 加藤隆公式サイト

https://katotakashi.jp/seminar/

・加藤隆ユーチューブ

 (2) 加藤隆 – YouTube



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