「不動産価値が下がらない街」には大きな特徴がある 「人の新陳代謝」が悪い街で起きることとは?


「不動産価値が下がらない街」には大きな特徴がある 「人の新陳代謝」が悪い街で起きることとは?

牧野 知弘 の意見 • 7 時間 • 読み終わるまで 4 分

大量の賃貸用空き家が発生し続けることで、スラム化が進むことが懸念されます(写真:サトシナカモト/PIXTA)
大量の賃貸用空き家が発生し続けることで、スラム化が進むことが懸念されます(写真:サトシナカモト/PIXTA)
© 東洋経済オンライン
今や、7軒に1軒が空き家といわれています。しかも今後、首都圏に大量相続時代が到来し、さらなる空き家の増加が予想されています。不動産業界の第一人者である牧野知弘氏に、空き家問題の「現状」と日本の「近未来」を聞きました。
(本稿は『新・空き家問題ーー2030年に向けての大変化』から一部抜粋・編集しお届けします。)
不動産投資ブームに群がる人たち
最近では土地オーナー以外にも多くの人が不動産投資市場に参画しています。富裕層を中心に東京や大阪ではマンション投資が活発です。またビジネスパーソンの間でも不動産市場の好調を見越して、多額のローンを組んで1棟売りアパートに投資、賃貸運用することが流行しています。

【表】東京の「人の新陳代謝率」が低く、「空家率」が高い街はここだ

東京や大阪のタワーマンション(タワマン)などに投資する層は、外国人と考えがちですが、地方の富裕層も積極的に購入しています。節税対策になるのと同時にマンションの値上がり期待も購入理由となっています。戦後80年が経過するなかで地方でも一財産を成した富裕層が形成されています。彼らのなかには東京に出かけた時の滞在用に買う人もいれば、値上がり益を見越して5年くらい賃貸で運用しておこうなどさまざまな動機があります。

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ただ投資額に対して十分な利回りを得るには現在のマンション価格は高すぎると言わざるを得ません。結果として空き住戸のまま放置される住戸が増えています。もちろん外国人投資家が買うマンション住戸も賃貸に出さなければ基本的には空き住戸(2次的空き家)にカウントされます。

ビジネスパーソンなどの不動産投資も活発ですが、ただムードに流されて不勉強のまま多額の投資を行なう事例が後を絶ちません。数年前の、シェアハウスに投資してまったく利回りを確保できないばかりか業者が倒産するという「かぼちゃの馬車」事件はあまりに有名です。業者や不正融資に手を染めた金融機関は問題ですが、投資する側の中堅ビジネスパーソンの方々の投資リテラシーのなさは驚くべきレベルのものでした。

これからの日本は大都市部に限らず、全国で大量の賃貸用空き家が発生し続けることが懸念されます。さらに懸念されるのがそうした空き住戸が増えることでスラム化が進むことです。これまでの日本では考えられなかった街の光景が現実のものになる日も近いのかもしれません。

「人の新陳代謝」が悪い街で起きること
不動産を長く取り扱ってきた経験上の話ですが、不動産価値を保ち続けるエリアには1つ、大きな特徴があります。人の出入りが活発なエリアでは地価が上昇傾向にあるということです。

理由は明快です。人の出入りが激しいということは、不動産がよく動くからです。他所から転入してくる人は、必ず家を探します。借りる、あるいは買うという行為が発生します。他所へと転出する人が多いということは、空いた家がマーケットに常に供給されるということです。つまり貸す、売るといった行為が発生します。

一方的に転入者が多ければもちろん不動産価格は上昇します。でも供給には限りがあります。かつて郊外で多くのニュータウンが誕生しましたが、転入に一段落がついたあとは転出者ばかりとなり、オールドタウン化が急速に進んだことはよく知られたところです。

関連するビデオ: 老朽化ビルを有効活用 解体前のマンションをアート空間に (テレ朝news)

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常にエリア内人口の一定の割合が入れ替わることで不動産が動きます。転入者は家を調達するだけでなく、家具をそろえ、近所の様子を探りに出かけ、飲食店や物販店を物色します。エリア内の商業が活発になります。お店の人も常に新しい人たちがやってくると流行に敏感になります。客の多さに気づいた他所のエリアからお店が新たに進出します。空き家は少なく、地価は上昇するのです。

私はこの動きを「人の新陳代謝」と名づけています。人の出入りが多い、つまりエリアの人が常に一定数入れ替わることが空き家の発生を防ぎ、不動産価値を維持、向上させるのです。

都内ですら、すでにエリア間格差が生まれている
こうした視点で各エリアの人の動きと空き家の状況を紐づけしてみるとおもしろいことがわかります。各自治体の人の出入り、つまり毎年の転入者と転出者の合計を「新陳代謝数」とし、期初における総人口の何%が入れ替わったかを「新陳代謝率」(以下、代謝率)としました。そしてこの代謝率と空き家率の関係を分析したのが【図表12】です。

(画像『新・空き家問題ーー2030年に向けての大変化』より抜粋)
(画像『新・空き家問題ーー2030年に向けての大変化』より抜粋)
© 東洋経済オンライン
東京都を含む首都圏1都3県でこの代謝率と地価上昇の関係には明確な相関があり、代謝率10%を超えている、つまり年間で人口の1割が入れ替わるエリアで地価は上昇することがわかりました。この理屈で言えば、代謝率の低いところでは空き家が増えているはずです。

東京都の平均代謝率は12.7%ですが、【図表12】にあるように八王子市は8.0%、あきる野市や青梅市になると6.9%と人の出入り(代謝)が少ないことがうかがえます。

こうしたエリアでは当然空き家率も高い数値が計上されます。東京都の空き家率は10.9%ですが、【図表12】で掲げた自治体の多くが東京都平均を上回る空き家率になっています。またこれを個人住宅空き家率で比較しても、東京都平均2.6%を上回る自治体が目立ちます。

都区内でも足立区や葛飾区は代謝率ではかろうじて10%を超えて人口が増加しているものの、23区内順位は低い状況です。

人の出入りが少なくなる、代謝率が落ちると高齢化にともなって人口が減少し、新たに転入する人が減ることで、エリア内の住宅が空き家化していくのです。東京都内ですらすでにエリア間に格差が生じ始めています。空き家はすでに日本の首都でも深刻な問題となることを、これらのデータは雄弁に物語っているのです。

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